Reflection

毎日の気づき、反省を書き留めて...

ロンドン投資銀行日記での一記事

元上司を訪ねて

 
数年前に会社を辞めた元上司の家を週末訪ねてエセックスに行ってきた。エセックスはロンドンの東、電車でリバプールストリート駅からは急行で20分程度で着く。思ったよりも近くて驚いたが、市街からわずか20分離れるとそこは一戸建ての家が立ち並ぶロンドン郊外のベッドタウンが出現する。のんびりした町並みはロンドンの喧騒とは全く異なる。

エセックスに住んでいる元上司はこの数年間に子供が2人増えて今や3人の子供を持ち、すっかりファミリーパパに変身していた。かなり太っていたのがすっかり痩せてて別人の体型になってた。ベッドルームが7つあって、綺麗にガーデニングされている150坪ぐらいのマイホームを見た瞬間に、彼はすでに違う世界の人になっていることを理解した。インベストメントバンカーをやっていると全力で常に走り続け、マーケットのダイナミクスに接しながら、次から次にディールを手がけていく、それがアドレナリンを常に出して麻薬患者のような状態にさせられる。今の彼は、リハビリ所に送られ、更生してすっかり真人間に戻ったかのようだった。「投資銀行業務を懐かしく思うこともあるけれど、あの生活はもう二度とできない」と語る彼は家族との時間を思いっきり満喫している実に人間らしい人生を歩み始めていた。人生にはお金やビジネスだけでないかけがえの無いものがあるんだよと言っているようだった。

その後インベストメントバンカーや会社員を辞めた後の人生という話で盛り上がった。もちろんバンカーを辞めた後もPEや事業会社などでばりばり働く人もいるが、ライフスタイルを変えて普通な生活をするとしたらという話が中心となった。有名なのでは芸能人が多数来ることで有名なロンドンのレストランIvyのシェフは33歳の時に思い立ってカリフォルニアで料理学校に通い、2年後にシェフとなり、その後Ivyの開店と共にロンドンに移ってきた。40歳ぐらいで引退してアメリカの西海岸やオーストラリアで余生を過ごす人もいる。イギリスではM&Aインサイダー取引の調査員のようなことをするコンサル会社を自分でやっている人もいる、などなど。

帰りの電車の中で、今後のキャリアを考えるに当たって、人生のバランスをいかに取るかが大事だなと自分なりに考えていた。インベストメントバンカーはある意味、よく言われるモウレツ社員人生を送りがちであり、仕事以外の趣味や活動に時間もなかなか割けないし、割く努力をしていない人が多い。ただやはりそうした本業以外の活動というのが燃え尽き症候群に陥るのを防いでくれ、長期的には人生のバランスを取るのに役に立つだろうし、自分の人生をより実のあるものにしてくれると思う。知識や交友関係の広がりにもなるだろうし。自分のケースではやはり途中で止めている博士号を早く取り、ビジネスでの経験を大局的・体系的に整理し、社会に研究や教育、あるいはまた違った形でビジネス・日本経済に還元していくことで、金儲けマシーンにならず、世の中に更に能動的に貢献できるのだろうな、と志を新たにした。