Reflection

毎日の気づき、反省を書き留めて...

特別講義 in London、£6.95 = ¥1320

 ロンドンでは、THさんの所属するLSEのフラットに泊めてもらっている。一週間の滞在のうちに、THさんを通じていろいろな人とお話しさせていただくことができ、たいへん貴重な経験となった。LSEには、学部から進学している人もいれば、企業や官公庁からの派遣できている人もおり、官僚や日銀、弁護士やPh.Dなど、実にさまざまなバックグラウンドを持つ人々と交流ができ、たいへん満足している。しかしやはり、そのなかでも一番勉強になるのはTHさんであり、彼は学部から来ている実務経験なしの人間であることにもかかわらず、不思議なくらい自分の中にしっかりした考えを持っており、このロンドンでの一週間の滞在期間において彼と時間を長く過ごせることほど、実りの多いものはないという次第である。

 生まれてこのかた、超がつくほどケチである僕は、ロンドンに来たところから、普通に昼飯を食べるとだいたい¥2000弱、マクドナルドのチーズバーガーが¥200、電車の初乗りが¥800という物価の高さに恐れをなして、朝や昼ごはんをTescoのパンを食べながら過ごすというど貧乏旅行を繰り返していたのだが、そんな僕を見かねてか、ある朝、THさんがSt Katharine Docという、静かで落ち着いた水辺のカフェへと僕を連れて行き、大きめのEnglish Breakfastを一緒に摂った。始まった話は、「お金の使いかた」。

 お金というのは、使うものである。それ自体、持っていたとしてもそこからなんら価値は生まれない。コストに相応するリターンというものをまずは認識して、それをどれだけ超えられるのかという点に関心をそそぐ。その差分が、THさんがよく言うところのバリューということになろう。使わなかったお金はたしかに溜まっていくが、放っておくと増えるということはありえないし、そもそもお金を持っているだけでは価値がないので、「君はそんなにたくさんの紙幣や金属を集めて、いったいなにが楽しいのだ?」ということになってしまう。

 「投資」という言葉は非常に印象的だった。お金をただ使うのではなくて、きちんとリターンを考えながら効果的な場所に投入していく。その効果的な投資を行うためには、自分がいったいどんな人間で、なにを好んでいるのかということを知ることが肝要だ。THさんは、それを、学生時代に100万円使うことで勉強したそうである。どういういきさつかは聞かなかったが、ある誕生日に、祖父から100万円をもらったそうだ。ポンと渡されて、好きに使っていいとのことである。恐るべし、麻生セメント。そこで、大学生だったTHさんは、たくさん旅行に行き、その旅行先でもふんだんにお金を使うなどして、たいへん贅沢な生活をしていたそうだ。そんなことをしていれば、当然ながら、100万円なんて一瞬でなくなってしまう。しかし、100万円を自由に使うことで、どんな時に使ったお金が自分を幸せにして、逆にどんな時に使ったお金がそうでなかったかという点について、よく知ることとなったそうだ。確かに、THさんのお金の使いかたに関しては昔からすごいなと感じていて、たとえば彼はいまだに週末を利用して世界中を旅しているのだが、Facebookに上がっている写真を見ていると、非常に贅沢な場所に留まり、贅沢な食事をとっているように思える。一方で、彼が帰国した後にその際の話を伺うと、お値段としては全く学生らしい範囲で収まっているのである。また、THさんはファッションが好きだ。いつもオシャレな格好をしている。一方で、これは僕がファッションに疎いだけなのかもしれないのだが、パンツはユニクロで買うのが一番なのだそうだ。コストに対するリターンが大きい投資ということになろうか。

 THさんのように、効果的な投資を行っている人は、彼自身が幸せに暮らしているということに加えて、付き合っているこちらとしても、話を聞いていて非常に楽しい。同じ大学4年間でも、僕とは経験が違う。彼も僕と同じくLSE卒業後は日本で外資投資銀行で勤めるわけだが、面接の際に、内定先のVPと、ボストンの避暑地の話で盛り上がったそうである。こんなこと、僕には出来そうもない。

 こうした特別講義をロンドンの水辺で受けながら僕は、「このカフェで摂っている高級朝食も、投資ということなのだな。」という理解をして、またロンドンの新しい一日を迎えるわけである。